刹那、決して叫ばない

 

『おはようマイケル、調子はどうですか?』

この日、彼の姿を見た私は、言わずには居れないそんな衝動に心を衝き動かされたのだった。
決して言わずには居れない、湧き上がるそんな衝動に。

だってこんな車乗ってんだもの。
そりゃ言うわ。
言うなってのが無理な話だ。

0515pontiac

何度か書いた事の有るアメ車マニアの人が、つい先日買った車がこいつ。
↑写真みたいに、ヒュンヒュンする赤いのは付いてないけど。
ともかくポンティアックファイヤーバードトランザム。
5.7リッターV型8気筒エンジンを積んだバカ車。

車検1年着いてて50万円だったとか。
あら、意外と安いのね。

ちなみに、ポンティアックファイヤーバードの中の、最上級グレードがトランザム。
この車がどれもこれもトランザムな訳では無いので注意が必要だけど、正直どうでもイイのでトランザムって事にしておく。

本当は、ボンネットに大きなファイヤーバードが描かれてる
『オレがトランザムだ!』
と声高に主張してるトランザムが欲しかったらしいのだけど、あれはとっても高いのでどうしたもんかと考えてる時に、このナイトライダーのトランザムに出会ったとか。
排気量も6600ccのトランザムに比べて小さいので、税金の面でも有利なのだ。
小さいと言っても5700ccだけど。

ちなみに自動車税は、5700ccなら88000円、6600ccなら111000円と随分違う。
どっちもバカ高いと言え、たかが?1000cc程違うだけで随分違う。
しかも、古い車はこの金額に15%がさらにドンっと乗せられるので、5700ccなら101200円、6600ccなら127650円と成る。
これが毎年居るんだから、デカい車乗るのは大変だ。
おまけに勿論ガソリンも一杯居る。
まぁ何せ大変だ。

過去にダッジのフルサイズバンとか、マスタングの凄く地味な奴とか、そんな妙ちくりんなアメ車ばっか乗ってたこの人なのだけども、一時何かの反動かアクアなんて言うV8のアメ車とは対極に位置する車に乗ると言うわけの解らない行動もしつつ、何だかんだと紆余曲折を経てどう言う訳だかトランザムへと。
何故って?
バカなんじゃ無いかな。
ミラでも入りたく無いようなかなり狭い住宅街の奥に住んでるのに。

ちなみに本当はバイパーが欲しいらしい。
8400ccの奴を。
何故って?
ん、多分バカなんじゃ無いかなって思う。
アクアですら駐車するのに何度も切り返すような家に住んでるのに。
前乗ってたフルサイズバンのラムなら、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も切り返さないと入らないような家に住んでるってのに。
バイパーなんてどうやって停めるんだって思うけど、そもそも1000万円からの金は逆立ちしても出てこないので要らん心配だろう。

ともかく、トランザムを買ったと見せびらかしに来たので、ちょっと横に乗ってみた。
5700ccも有るこの車を。

この車が速いか遅いかと聞かれたら、返答には困ってしまう。

5.7リッターも有ればそりゃそれなりの出力を叩きだす。
デカいピストンにガソリンブチ込んでトルクを稼ぐ事のみを念頭に置いたシンプルな思想のエンジン。
デカいパワーが欲しけりゃ、デカいシリンダーに大量の混合気ブチ込んでやればイイ。
ダディの作るBBQ料理くらいにシンプルだ。

ややこしい事なんか考えない。
細かい事なんて気にしない。
パワーは排気量で出すもんやで。
パルマ産生ハム(骨付き)のような上腕二頭筋をアピールしながら、ボブおじさんは食後の口直しにと1ポンドステーキを食べながらそう語る。

搭載されるのは350エンジン。
排気量は5700cc。
350エンジン=350cu-in(立法インチ)=5700ccって事だ。

DR800にタメ張れるくらいの、一発当たり712ccも有るシリンダー。
それが8個もあるんだから、トルクは凄まじい物が有る。

でも、所詮はシボレーのOHVエンジンなので、同じV8のフェラーリみたいに回る訳は無い。
同じような排気量のV12エンジンのフェラーリと比べるまでも無い。

ちなみに、このシボレーのV型8気筒5700ccエンジンは、ツインターボを組んだR32のRB26DETTよりちょい下くらい。
ツインカムのツインターボと、OHVのNAとを比べるのもどうかと思うけども参考までに。

実際の数値の上での加速力は仮に他の車と同じ程度だとしても、乗った人の感じ方は随分と違う。
回転で加速する車と、ただただトルクで前に進ませるエンジンとでは、やはり印象は随分と違って来る。
これがアメ車の魅力でも有り、これがアメ車の野暮ったさでも有るのだろうと思う。
受け取り方はそれぞれだ。

このデカいシリンダーで生み出されたNAのV8エンジンの凄まじいトルク。
雑なパワーの出方と、明らかにスポーツカーでは無いハイヤーみたいに快適な乗り心地は、これがメイドインアメリカの車なのだろうと実感する。
見た感じスポーツカーみたいだけど、スペシャリティーカーって言われるだけの事は有る。

官能的、なんて言葉とは無縁な雑な車だけども、これはこれで好きな人には堪らないのだろうって事は解る。
無理やり力任せに進ませられてるような感じは、日本やヨーロッパの高性能スポーツとは明らかに違うのだから。

この独特の加速感を味わうと、テンション上がってつい誰しも言いたく成るだろう。
きっと叫びたく成るだろう。
トラン...

だが叫ばない。
私は断じて叫ばない。
万死に値する!

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