領空侵犯は許さない
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ある日の国道４３号線。
この日は真ん中車線を走る私。
3車線の真ん中を走る私。
基本、左端をこそっと走るのが常なのだけども、この日はなんとなく真ん中を。
理由は特に無い。
目の前の信号は青から黄色、そして赤へ。
先頭を走る私は、停止線にフロントタイヤをピタリと着けてR1を停止させた。
と、その瞬間、左車線に大型トラックが止まった。
どこかの長距離輸送トラックだろう。
次の瞬間、今度は右側車線にも大型トラックが停止したのだ。
今度は大型重機を運搬するらしき大型トラック。
この時は空荷なので正確には言えないけど、恐らくは建築用重機を運搬するのだろうとは思う。
ブッフォォォーーーー！！
と、左側に止まったトラックから突如大音量で鳴らされたクラクション。
凄いびっくりした。
唐突に真横で鳴らされたらそりゃビックリするわ。
膀胱の状態しだいでは大惨事が起こりかねない。
何事かと左に止まっていたトラックを見ると、トラクドライバーが窓を開けて顔を出し、何やら怒号を上げたのだ。
『ちょっとあなた、だめじゃないですか、叩きますよ』
と言う意味合いを、安いＶシネマに出てる安い役者の三文芝居っぽく怒鳴り声を上げたトラックドライバーの姿が確認できた。
何？
排卵日ですか？
すると右側に止まってた建築用重機を運搬するらしきトラックの右側の窓が開き、助手席に座ってたパンチパーマが顔を出して呼応した。
『一体何ですか？あなたの方こそぶちますよ』
と言う意味合いをまたしてもチンピライズしたボキャブラリーを夜露死苦並べて、何かギャースカギャースカ言い合ってるの。
右車線に止まったトラックのオッサンと、左車線に止まったトラックのオッサンが言い争ってるの。
人の頭の上で。
人の領空越しにミサイル撃ち合ってんじゃ無ぇー
サイドスタンドを出した私は、領空を侵犯する二つの大型トラックの間に割り込むように、タンクの上に立ちあがって不思議な踊りを踊って威嚇してやったのだ。
おいお前達、言い争いなんてくだらないゼ、それよりアタシの不思議な踊りを見ろ！
とばかりに。
と、そんな事を空想しつつ、頭の上で交わされる怒号を聞いてたのだけども、口喧嘩ならまだしも、人の頭の上で空き缶とか投げあったりし始めたらどうしようかとちょっとドキドキした私なのだった。