複視くん

自宅でさえ、風呂場で転んだり階段から落ちたりとリスクはつきまとうのだが、外に出るとそのリスクはさらに高まる。
幸いな事に、テロリストに襲われたり庭先でサメに襲われたりな経験は無いのだけど、側溝の蓋の穴にヒールを落としてバランスを崩し、危うく植え込みに頭から突っ込みそうになった経験くらいは有る。
芦屋の山手の急な下り坂で、止まれの標識の所でブレーキ掛けたら凍結しててスっ転んだりとか。
世の中ってのは何が起こるか解らないもんだよ。
いや全く。

[ads]

ボクシングを始めとする格闘技を良く見てる人ならお馴染みのフレーズ。
それが眼窩底骨折(がんかていこっせつ)
これは、眼球の下部に有る薄い骨が折れる怪我で、眼球に強い圧力が掛かる事で起こる。
ボクシングで頻繁に起こるのはそれが理由。
折れ方によって、手術が必要な場合と保持だけで完治を目指す場合とが有る。
手術の場合、自分の軟骨を使う場合も有れば、シリコンやセラミックやチタン等を使う場合も。
施術は主には口の中や鼻の中から行い、目玉を取り出して手術したりは、まぁ多分無い。

この眼窩底骨折での厄介な症状の一つが複視(ふくし)
落合家のご長男では無く、物が二重に見えるって症状。
眼窩底骨折による複視が起こった場合はかなり重症なので、手術は不可避と成る。

複視ってこんな風に見えるらしい。
詳しくはマルク・マルケス オールイン第一話をどうぞ

マルケスの場合は頭部の強打が原因だったのだけど、随分と前にこの複視に悩まされた私の友人の一人の場合は眼窩底骨折が原因。
自転車で転んで、顔面を強打して...って具合に。
スマホの操作は勿論、靴下を履くのさえ困難だと言うのだから、非常に辛い。
こんな状態でmotoGPマシンに乗るのは、やっぱり止めておいた方が良さそうだ。
片目ではちゃんと見えると言っても、流石にそれで走るのは無理と思う。

 

眼窩底骨折の原因と成った自転車はMTB。
当時の彼は主にはダウンヒルをしていたので、通常はこんなヘルメットを被っている。

モトクロス用っぽいけれど、実際にはかなりペッコペコなので勿論モトクロスには使えない。
所詮は自転車用なので、形が違うだけで作りは普通の自転車用のヘルメットと違いは無いからね。
通気の為の穴も一杯空いてるし、流石にこれでモトクロスするのはお勧めしかねるわ。

重量100kgのギザギザしたアルミの塊が、時速100kmで飛んできた場合の防御力なんてのは気休めにしか成らない程度だけど、自転車の重量と速度ならこれでも十分に実用には耐えれる。
Vクロス4を被って自転車に乗るのは別の意味合いで危険なので、モトクロス用ヘルメットに慣れた身からしたら心もとない気もするけれど、これがベストチョイスなんだろう。
バイザーがTAKAみちのくみたいに上向いてるのは、ダウンヒル=つまりは下りで使うから。
すっごい角度の坂を下ったりするので、上向いてないと邪魔なんだよ。

このダウンヒル用ヘルメットとゴーグルをしておけば、眼窩底骨折を防げる可能性は高かったのだろうけど、その日は不幸にもクロスカントリーだったので普通のMTB用ヘルメットとサングラス。
本来なら、モトパンに長袖ジャージ、ガードをフル装備してフルフェイスを被ってゴーグルするのがベストなんだろうけど、クロスカントリーライドでその仰々しい装備は熱中症を起こしそうだから、中々に難しい話だ。
安全第一で熱中症起こしてちゃ困ってしまうからね。

結局の所、骨を折るのが嫌なら家で寝ておくのがベストなのだろうけど、そう言う訳にも行かないのでバランスの良い安全対策は取りたい。
ただこれが、どうバランス取るのかってのは、これが難しい話なんだけどね。
とても難しい。
でもレギュレーションとは無関係なホビーライドなら、MTBで肌は出さない方がイイと思うな。
なんか、転んだらズルズルに成りそうで見てるだけでドキドキするから。

これくらいがベストなのかな。
せめてこれくらいにバイザーに強度が有る、有るかどうかは知らないけれど、バイザーがしっかりしてれば、眼窩底骨折を回避出来たかも知れない。
まぁ、今さら言っても仕方ないのだけど。

ちなみに、眼窩底骨折したら完治するまで鼻をかめなくなってしまうので、花粉症の人は十分に気を付けよう。
なんでも、鼻をかんだら目玉がポポポポーンと飛び出す、なんて事は無いにしても、眼球の奥に空気が入ったりと何かと具合悪いらしいので、治るまで鼻を垂らしておいてくれと、そんな感じでお一つ。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy