KOVE 321RR

最近、日本にも法人が出来たKOVE。
ダカールラリーを完走した事でもお馴染みの人も居るんじゃ無いかと思う。

 

KOVEの創業は2017年。
まだ作られてから10年も経ってない、出来立てホヤホヤのメーカー。
だが、中国メーカーに良く有るように、生い立ちがかなりややこしい。
元を辿ると、Tibet New Summit Motor Co., Ltd. =チベットニューサミットモーターに遡れる。
どうやらこの会社がColoveやExcelleなどのブランドを展開した内の一つがKOVEみたい。
で、何だかんだで独り立ちしたっぽい、のかな。

企業の数だけ戦略は持っているので、日本企業がどうの中国企業がどうだとは一概には言えないのを前提として、傾向的に中国企業はやたらめったらな拡大路線を取る場合が良く見かけられる。
それは単に自らの会社を拡大するだけでは無く、製品の販売チャンネルを拡大させる、つまりは同じ製品でブランドを広大に展開させるって場合も見られる。
ただ、バッジエンジニアリングなんて名前も有るように、そんなのは大昔から有る事で、私の大好きなミニでも始まりはオースチンセブンとモーリスミニマイナーと、2つのブランドで売られていたのだから。
特に珍しい事ではないが、中国メーカーの場合は会社の国籍まで変えてくるので、その拡大ぶりは日本の常識の範疇を大きく逸脱する。

例えば、こんなちっちゃなブルターレみたいなバイクを作ってるスペインのmacborって会社が有る。
この会社も、ColoveやExcelleと同じ製品を販売する会社。
つまり、大本は同じって事。
パエリアの皮をかぶった稀饭だ。

 

 

 

話は戻ってKOVE 321RR。
概ねの評価は、YZF R3と大体一緒、との事らしい。


上がKOVE 321RR
真ん中がそのネイキッド仕様の321R
下がヤマハ MT03

エンジンもR3/MT03と良く似てる、との話もちらほら。
ボアxストロークも一緒。
エンジンの外観は腰下、特にウォーターポンプ周りやシリンダーの角度なんかも良く似てるけれど、同じ形式の同じクラスのバイクだから似るのも仕方ないよね、って感も無い訳でも無いので、それは皆さま一人ひとりが好きなように思って頂けたら結構だ。
CBR250RRのシャーシとR3のエンジンを持って生まれた奇跡の子、と思うのも、それはあなたの自由だ。
でも、それにしても、格好イイよね。
その昔は中国のバイクなんて、ガワはそれなりに体裁整えてもエンジンは日立のベビコンみたいだったのに、今やヤマハと並んでも遜色ない、かも。

実際、KIMCOを筆頭に、ホンダとヤマハとも技術提携して人材も引っ張ってるらしいので、その辺から似たような物が作られてると考えても不思議は無いかも知れない。
ただ、KOVEは400ccクラスで4気筒エンジンも作ってるので、単にコピペしただけのメーカーではないのは確かな話だ。

 

ジャパンブランド至上主義な人からしたら、中国ブランドなんて単なる模倣品で単なる安物、関西で言う所のパチモンって奴に即断してしまうかも知れない。
さらには、中国製品のダメな部分を頑張って探して鋭く指摘して気持ちよく成るマニア筋の方も居るかも知れない。
だが今や先行者でキャッキャしてた頃とは状況は大きく違ってくる。
ロシアだろうがアメリカだろうがコンポーネントは台湾だぜと、レンチで宇宙ステーションをぶん殴って直してたロシア人が居たが、台湾はともかく中国製品に関しては、既に中身の一部だけに留まらず、最終的な製品でも中国製がブイブイとその存在感を増している。
このKOVEのその一つで、ダカールラリーと共に、昨年からWSS300にもこのバイクは参戦しているのだ。

昨年の成績は最高順位が8位、ランキングは23位と、まだ参加する事に意義が有るぜ的な順位に留まっている。
まだまだカワサキとヤマハ+KTMの壁は分厚い模様だが、少なくとも同クラスのスポーツバイクとしては、その土俵に立つことすら出来ないスズキを現時点で上回ってるのは確かだろう。
WSSはもちろん、JP250にも出れないのだからどうしようもない。
出てない、じゃなくてそもそも現状は出れない。
今後、何か心境の変化でも起こって、GSX-R250RRなんてオールニューマシンを投入したら話は変わってくるが、そんなややこしい名前のバイクはきっと出ないだろうな、って思う。

 

で、このKOVE。
この先、成績をガンガン上げて行けるのか、それとも2年ほどしたら記憶にすら残ってない惨状と成るのか。
それについてはまだ分からないけれども、レース参戦によるブランドバリュー向上戦略がニュ-センチュリーから四半世紀も経った今頃においても上手くハマれば、日本以外の地域で日本メーカーのシェアを食う脅威と成る、かも知れない。

ちなみに上のちっちゃいブルターレ。
FUN PLUS 125って名前のバイクなのだが、スペックはグロムやZ125よりちょい大きいくらい。
サイズ感はDトラ125くらいかな。
お値段は2300ユーロなので、2024年2月末のレートでは37万5千円って所。
グロムとほぼ同価格帯だが、Dトラ125よりは随分と安い。

世界屈指のバイクメーカーが有る日本においては、わざわざ中華バイクを買う選択ってのは特に無く、そもそも眼中にないぜって人も少なく無いだろうと思う。
個人的にはこのちっちゃいブルターレは凄く気に入ったのだけど、買うか買わんかと聞かれたら、そりゃ買わんよと即答するだろう。
ただ世界ってのは日本人が思うよりもあまりに広大なので、中華バイクなんぞ所詮はパチモンのパクリバイクだろと鼻をホジってたら家電メーカーみたいに鼻血すら出やしねぇやって事態に陥り兼ねないので、中国はEVだけじゃないって事を覚えておく事も必要、かも知れない。
日本が一人当たりのGDPが10万ドル有って人口が10億人の国なら日本国内だけの商売でウッハウハ言いながらやっていけるんだど、残念ながらそうではないので、責任ある立場の人は世界に目を向けて胃の痛い毎日を過ごしてる訳だ。
無責任な立場の人間は、鼻でもホジってりゃイイのだけども。

 

今後、中国ブランドが世界のモーターサイクル界で無視できない大きな存在に成ってるのか、それとも10年も経ったら記憶にすら残らなく成ってるのか。
それは、私には、分からない。
ただ思う事は、スズキはもうちょい頑張って欲しいな、って事だけ。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy