FKMかNBRか

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1.NBR(ニトリル)
2.VMQ(シリコン)
3.FKM(フッ素)

Oリングとしてバイクに使われるのは主にはこの3点。
Oリング自体にはもっと数多くの種類が有るけど、入手のしやすさと価格と性能を考えたら概ねこの3点を抑えておけば良いかと。
モノタロウやミスミやその他小売店で容易に入手出来る物をと考えたら、この3点から選べば概ね問題は無い。

NBRとFKMの使い分けに関しては、ガソリンの経路と高熱部分にはFKM、それ以外にはNBRを選んでおけば概ね間違いは無いだろう。
具体的には、キャブの内部やインレットパイプ、シリンダーヘッドにはFKMを。
それ以外のエンジン内部や足回りにはNBRを選択しておけば大体は問題無い。

FKMは、特に耐ガソリン性に優れるので、キャブに使うならばこちらが必須と成る。
NBRでもそれなりのガソリンに対する耐性は持ってるのだが、やはりFKMには及ばないのが現実。
素直に、高ガソリン耐性を謳うFKMを使う事をお勧めする。

そして、高熱箇所もこのFKMの方が圧倒的に強いので、こちらがお勧めだ。

FKMは万能高性能Oリングとの認識を持つ人も多いだろうけど、一般に入手出来るFKM-70はエンジンオイルに含まれるアミン系添加剤には意外と弱く、高温の水蒸気も得意では無いので何でもかんでも一概にFKMにしてりゃイイって訳でも無い。
NBRの上位互換と言う訳でも無い。
大体問題無いって言えば問題は無いのもこれまた事実なのだけど。

なんせ、Oリングの劣化なんて数年とか数万キロってスパンでの話しなので、どのOリングがどうのこうのって、文献上の知識的にはあれこれ言えても、実体験上はそうそう簡単に言い切れたりしないもんだ。
液体に漬け込んで煮たら話は別だろうが、普通に潤滑系シーリング剤として使ってる限りはFKMでも特に問題を起こした経験は無い。
どの道、何使おうが、そして純正部品を使おうが、いずれはヘタって漏れ出す可能性を秘めてるのは宿命なのだから。

純正部品に関しては、使わなくても良い所にFKMを使う事は商売上許されない事なので、特に問題無いならばNBRが使われる。
高温箇所やガソリンに常時触れる部分等、NBRでは心もとない場合にはFKMがベストだと思うのだが、ここでも意外とNBRを使ってたりすると言う説も有ったりする。
見た目は真っ黒けなので良く解らない、のだけど。

ちなみに、綺麗に水洗いして乾燥させた後に5mmくらいにカットして、火を着けて黒煙上げて燃えるのがNBR、すぐ消えるのがFKMと見分けを着ける方法は一応は有る。
まぁ、千切って燃やしたらもう使えないけどね。

あ、密室内でフッ素ゴムをOリング1本分燃やすのは止めた方がイイと思う。
やるなら微量、かつ屋外実験がお約束だ。
フッ素ゴムを燃やして出てくるガスは吸わない方が良いと思うな。
吸ったこと無いから実体験としては語れないけど、止めた方が良いとは思う。

ちなみに、フッ素ゴム製品を作ってる会社は、何処もほぼ同じ事を言ってる事を付け加えておきたい。
フッ素ゴム製品はそこらで燃やすなよ!
と言ってる事を、一応付け加えておきたい。
そして、勿論私は燃やしたことなんて無いよって事も追記しておく。

大量に判別する場合、その度燃やしてたら本気で命に関わる恐れも有りえるので、1.3~の比重の液体を作ってその中に放り込んで確かめるのが賢明かと思う。
それに、燃やしたら使えないので分別の意味無いし。
燃えカス持って来て、NBRでした!なんて報告されてもちょっとも嬉しく無い。

比重1.3~の液体に投入して、浮くのがNBR、沈むのがFKM。
純ゴムの比重は、NBRが1.00~1.20に対し、FKMが1.80~1.82なので、比重により見分けが可能だ。

そうやって見分けも可能だけど、どうやってそんな高比重の液体を持って来るかが問題だったりする。
...ガムシロップとか蜂蜜とか?
その辺で行けそうな気はするけど、どうだろうか。
蜂蜜にOリングを浸けた経験なんて無いので良く解らないわ。

同じサイズのOリングが数十本ずつ有るなら、精密な量りで量れば解ると思う。
でも、流石にS-10くらいのOリング1本量って、確かめるのは難しいだろう。
しかも使い古されたOリングなら尚更に。

結局の所、純正のOリングは各所に何使ってんだか良く解らんってのが正直な所だけど、まぁ大体はNBRだろうと思うな。
更年期のごとくパッサパサに乾いた油ッ気の無い昨今のバイクの足回りを見たら、特に絶対必須でない箇所にわざわざ高いOリング使うとは余り思えないのが普通の考え方だろう。
バイクからポテトチップスまで、何処もかしこもコストカットが正義の時代なのだから。

ちなみにFKMとNBRの価格差は数十円。
通常何万本も買う事も無い我ら民間人は、特に燃料系に使うなら数十円をケチらないでFKMを使っておきたい。

VMQ(シリコンゴム)は、主には耐熱性が求められ、かつオイルに触れない所に使うのが本筋。
例えば冷却系等のオーターポンプやサーモスタット、水周りのフランジなんかにはピッタリの素材。
熱と水に強い半面、エンジンオイルやガソリンには強くは無いので、オイルの循環する箇所、ましてやキャブ内部には使わない。

ちなみに、色は赤とか青とか白とか、一風変わった色をしてる場合が多いので直ぐに解る。
黒は解り難いので止めて欲しいと思う。

なお、赤いOリングが可愛いからと、キャブのフロートバルブにVMQを使うのは厳禁だ。
避妊具のカラーコーディネイトにこだわるのは結構な話だが、キャブの中身には赤いVMQでは無く真っ黒のFKMを使う事をお勧めする。

まとめ

FKM・・・・燃料系、インレットパイプ、シリンダーヘッド周り等の高温部分

NBR・・・・それ以外のエンジン内部及びスターターモーター等の補機類、足回り

VMQ・・・・冷却水系統

この3つだけで無く山のように有るOリングの種類。
何がベストかは一口で言うのは意外と難しい所なのだけども、こんな感じで考えておいたら大はずれはしないだろう、とは思う。

FFKM:パーフルオロエラストマー系、パーフロと呼ばれる高温水蒸気が得意な高機能素材も有り、今や楽天でも手に入る凄い時代なのだけども、かなりお高い値段なので、バイクのエンジンに使うのは些かオーバースペックかと思う。
流石にOリング1本に12000円は高すぎるんじゃ無かろうかと。

と言う訳で、結局の所はVMQ以外は全部FKMでイイんじゃ無いっすか?
な気もしつつ、適当かつ賢明に選んで頂きたい。
解らんなら、まぁ純正でイイんじゃ無いっすかね。
手間要らずで確実な選択だと思うな。
それがベストかどうか、までは言及しないけど。

MOTOR CYCLE

Posted by tommy