コブラは無い、繰り返す、コブラは無い

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名前は何を名乗っても良い訳では無い。
この世の全ての物は、何の名前を名乗ろうと自由な訳では無い。

 

勿論、自分の子供にアパッチだろうとジェロニモだろうとペガサスだろうと捌弟だろうと蟻仁王だろうとも名づけるのは自由だ。
我が子の人生に責任を持てるなら自由にすれば結構なのだろう。
法的に使える漢字を使う限りは自由。
カタカナならさらに何だろうと自由だ。
キングアーサーだろうと、オケツカユイネンでも何だって自由。
ちなみに蟻仁王と書いてアントニオと読む。
子供の名前に使っても良いけど、特にお勧めしない。

私がこのブログ上で、ミッキーとかミニーとかプルートだろうが名乗るのも自由だとは思う。
別に、黒い耳着けたエージェントが夜中にピンポン鳴らして自宅までやってきたりはしないと思う。
実在する人の名前を偽るのは問題は大いに有るとは思うけれども。

 

ただ、企業名や商品名の場合、何を名づけても良い訳では無い。
そこにはちゃんと法的な縛りが有るのだ。
それが商標法。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34HO127.html
何でもかんでも好きに名乗って良い訳では無い。

 

実はこの商標。
特許情報プラットフォームと言う特許庁のサイトで検索する事が出来る。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 

例えばVMAXと言う名前。

商標を登録してるのは

・ヤマハ発動機
・ホリー株式会社(建設用の足場等)
・モレキュラーデバイシズ(化学、生化学関連機器)
・グローブライド株式会社(釣具でお馴染みのダイワ精工の今の名前)
・EMCコーポレーション(DELLの子会社)

この合計5社がVMAXの商標を登録している。

 

その中、VMAX界の中心とも言えるヤマハは多くの区分での出願を行っている。
その範囲はバイクだけに限らず、船舶からロケットから戦車から、果てはタバコから洋服から昆虫採集用品までもがその範囲と成る。
区分が多すぎて良く解らない程。

つまり、誰かがVMAXって名前の昆虫採集用品を売り出そうと思っても、ヤマハに話を通す必要が有ると言う事。
勝手にVMAXなんて商品を売り出すと、ちょっとツラ貸せやと浜松工業高校の体育館裏へ呼び出される。
耳元で音叉をキンキン鳴らされる拷問受ける事必至だ。
加勢大周のモノマネを強要される事は避けようも無い。
嗚呼恐ろしい。
何が恐ろしいって、加勢大周なんて書いても誰も理解してくれないんじゃ無いかと考えるだけで恐ろしい。

他にも、釣具にVMAX、サーバーの名前にVMAX、たんぱく質の検出装置にVMAX、工事用の足場にVMAX、犬用の鎖にVMAX...等。
これらは使用に制限が掛るので、今から無制限にVMAXの名前を名乗れるジャンルは殆ど無いのが実際の所。

宇宙探偵VMAXとか、シェフのお勧め♪ふわとろオムライスVMAXとか、愛されゆるふわVMAXとか、その辺りならクリアしてそうな気もするけれど、事実上殆ど空きが無い。
当たり前だが、スズキがVMAXなんて名前のバイクを売り出すことは不可能だ。

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他の名前を検索してみると

ヤマハは今もブロンコやルネッサ、ジールさえもまだ所有している。
その気に成ればジール復活も有る、かも知れない。
加勢大周ファンの方は、気長に待っていよう。
生きてりゃそのうち良い事も有るさ。

カワサキは、ニンジャは当然として、シェルパも持ってるしGPZやGPXだって未だに持っている。
ザンザスだってまだ持ってるザンスよ。
でもKRは既に持って無いみたい。

日本製バイク最後の2ストと言われるNinja150RRってバイクが有るが、あれがKRを名乗らなかったのはこの辺りに原因が有るかも知れない。
この商標の問題が。
でも、そもそも東南アジア向けモデルだから日本の商標登録には何も関係無いかも知れない。
...ああ、やっぱ関係なさそうだ。
ごめん、やっぱ関係成さそうだ。

 

で、スズキ。

ハヤブサもカタナもデスペラードもグースもジェベルもガンマも、アクロスだって商標を持っている。
ちなみにカタナで調べたらヤマハも持ってると出てきたけど、発動機の方のヤマハじゃ無いっぽい。
ついでにガンマで調べたらまたヤマハが出てきたけど、これも音楽系の音叉マークが突き抜けてない方のヤマハ系みたい。
もう、ややこしいんだから。

そんなスズキ。
ウルフさえも持っているスズキだが、実はコブラはもう既に持っていないのだ。
少なくとも、特許情報プラットフォームの検索フォームで調べた限り、コブラもCOBRAもスズキが持ってるよとの結果は出てこない。
既に手放したと考えるのが妥当だろう。
もうコブラは所有しない、もうコブラなんて作らない、もうコブラなんて思い出したくも無い。
あーあーーー聞こえない、コブラなんて名前聞こえない、あーーーあーーーーー!!
と考えるのが妥当だろう。

mametan

マメタンでさえ未だに持ってるのにね。

 

と言う訳で、非常に長く成ってしまったけれども、スズキは今後ネイキッドバイク、もしくはストリートファイターを作る際にもコブラを名乗る事は無い。
別に縁起悪いとかそんな理由では無くて、もう商標の更新すらしないくらいにコブラを名乗るバイクは作る気はさらさら無いって事。
更新料(10年)は区分ごとに38800円が必要なので、それを支払うのもヤダって事なのだろう。

なお区分とは、1類から45類までに分類された、商品及びサービスの種別の事。
ラジエーター冷却水は1類、塗料は2類、洗浄剤は3類、エンジンオイルは4類...と分かれている。
これらに該当する商品を同じブランドで売り出して、その名前を保護したいと考えたら最低4区分x38800円が必要って事。
中々大変だ。

A~Zまでの、全てのショックの商標を取ってると良く言われるカシオは、Gショックに関しては42区分に追加して個別にさらに19区分、Gを除くA~Zショックに関しては1区分ずつ所有している。
つまり、(42+19+25)x38800円
同じタイミングで同じ条件で更新するなら、10年ごとにこれだけ掛るって事だ。
カシオもGショックの名を守るだけで大変だ。
Gショック幾つ売らねば成らん事か。

 

と言う訳で、スズキにとってコブラはすでに終わった名前。
これから復活するなんて事は無い。
新たに商標取ったりは多分しない。

忘れたい過去は誰にでも有るもんだ。
もうそろそろ無かった事にしようじゃないか。
そうしようじゃぁないか。

と言う訳でコブラはもうない。
コブラ会は今後結成される事は無いのだ。
極一部の人に取っては悲しいお知らせだけど、これが現実なのだよ。

諦めよう。
そして、そろそろあのフワフワした時代の事は忘れよう。
今のスズキは、地に足の着いた会社なのだから。

 

MOTOR CYCLE

Posted by tommy