ダッシュしたら追いかけてくるのは犬も警官も一緒

この日のマシンは黄色いママチャリ。
私は、何処にでもある黄色いママチャリをせっせと漕いでいた。
電動アシストも付いてない、何の変哲も無いただのママチャリを。

自転車乗ってる際の厄介な出来事と言えば職質。
お馴染みの防犯登録のアレ。

とても厄介な話だ。
ってのも、今回乗ってるママチャリは私の持ち物ではないから。
持ち主は、もう2年ほど顔を合わせてない人。
その人がガレージに置いていったママチャリをずっと足として使ってる。
だから防犯登録を調べられたら非常に厄介な事に成るのだ。
なんせ、住所は奈良だか京都だかで登録してるのだから。
もっと言えば本名すらもちょっとあやふやだったりもするし。

借りた自転車です。
と言った所で、正確には借りた訳でもなかったりする。
貰った自転車ですと言っても貰った訳でも無い。
いちいちママチャリに乗るたびに電話して許可取ったりしないからね。
黙って乗ってるだけ。

だから借りたと言った所で、それは正確では無い。
勝手に借りてるだけで、持ち主に許可取ってる訳では無い。
勝手に無断に借りてるって、シンプルに言えば何て言うんだろう??
パクった?
あれ、もしかして私って盗んだママチャリで走り出してるの?
あれ??
コレって、職質されたらちょっとヤバい状態??

そんな事を0.0001秒の、かの早着替えが得意な宇宙刑事ですらまだパンツを履き替えてないほんの刹那の内に頭の中を駆け回ったのは、今走ってる道を真っ直ぐ行った先に、白いスーパーカブの傍らに黒っぽい制服着た2人組が居たからだ。
あれは、もしや、お巡りさん!

一応書いておけば、私の人生において今まで職務質問なんてされた経験は無い。
1度だけ電動アシスト自転車に乗ってる時にお巡りさんにジロジロ見られた事は有るけれど、幸いな事に歩いてる時も自転車乗ってる時も、お巡りさんに声掛けられた経験は無い。
電動アシスト自転車に乗ってる時にジロジロ見られた事は有るけれども。

それは、ペダルの足を止めてシャーってしてた時の事。
この黄色いママチャリも、そしてこの時乗ってた電動アシスト自転車も、駆動系にはちゃんと手を入れてるので調子は結構良かったりする。
少なくとも5年前にコーナンで買ったまんま乗りっぱなしにしてた自転車よりは遥かに走る。
ハブのグリスアップと調整、チェーン掃除と調整くらいしかしてないけれど、それだけで圧倒的に気持ち良く走ってくれる。
キッコキッコガッチャガッチャ言ったりなんかしない。

で、ハブも結構グリングリン周るので、漕ぐのも軽いしシャーってするのも軽い。
そんな、シャーーってしながら足止めて軽快に走ってる際に出会ったのが自転車で回遊しているお巡りさん。
軽快にシャーしてる私の自転車を電動アシストでは無く電動自転車だと思ったのかも知れない。

そりゃもう舐めるようにジッロジロ見られて、きっとそれは私が足止めてるのにシャーーって走ってるのが原因なんだろうな、なんて思いつつも、今更ペダル回すのもわざとらしいかも?とか色々を頭が掛け巡ったりしながらシャーーってしてた。
そんな思い出は有る。
回想シーンが長くてごめんね。

長い回想も程ほどに、目の前にはお巡りさん。
そして立場が非常にあやふやなママチャリに乗る私。

ここで道を急変更するのはちょっとわざとらしい。
ってか、曲がった先にも待ち構えてそうな気がしないでも無いし。
こっちが本命だぜと言わんばかりに。
そんな罠の臭いがプンプンする。

どうしよう。
どうしよう。

富子はパッキャラマドの呪文を唱えようと思ったが、きっと逆効果になりそうなのでやめておいた。
パッキャラマドの呪文って何よ?

自然。
ここはやはり自然こそが何よりも重要だ。
ここは川の流れのように自然な振る舞いが必要だ。
何としてもこの職質を回避する為に。

ってのも、この日はアイス買いに行った帰りだから。
このすっごい暑い最中にカゴにはアイス。
生牡蠣に当たった人みたいに、一秒たりとも無駄には出来ない切迫した状況なのだ。

普段なら別にかまわない。
車でちょっと位の渋滞にハマろうと、自転車で職務質問されようと、セフルレジでグズグズしてる人が居ようと。
でも今はダメだ。
ソフトクリームみたいな意識低そうなアレを買った今の私にはそんな暇は無い。
この暑い最中に何らの保冷手段を持たずアイス買って帰る今の私に職質受けてる暇なんて無い。
あのアイスって、柔らかく成ったらキャップを外す際に頭だけモゲてしまうものね。
由々しき事態だよ。
スプーンが無い状況で頭がモゲたら途方に暮れちゃう。

だから今はダメだ。
このR1に乗ると下半身が焼けそうに熱い今は。
あまりの暑さにアッチの毛がチリチリに成りそうな程に熱い今は。
出来る事ならば猛ダッシュで自転車を漕ぎたい気分だ。
でもきっと追いかけてくるので止めた方が良さそうだけど。

ともかく今はちょっとダメ。
せめて明日にして。
せめてアイス食べてからにして。
そう言いたい気分。
警官の乗るスーパーカブの後ろの箱が携帯型冷凍庫に成ってるならまだしも、きっとそんな気が効いた装備なんて持ってないだろうから今はちょっとご免だわ。

とか思いながら、私は警官の横を素知らぬ顔して通り過ぎるのだった。
ただただ静かに、狼を刺激しないよう素知らぬ顔して静かに通り過ぎるのだった。
ダッシュしたらやっぱきっと追いかけてくるんだろうな、とか要らん事を考えながら。

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