遂にイアンノーネの運命が決まる

2020年10月17日2020年11月11日

激動の2020年のMotoGP。

●コロナにより開幕戦のMotoGPクラスが突然キャンセル。

●もてぎを含む多くのサーキットでのグランプリの休止。

●ようやく開幕したと思ったらマルク・マルケスがクラッシュで欠場。

●クアルタラロ、ビンダー、オリベイラ、モルビデリの、初優勝ラッシュ。

●KTM勢、ジョアン・ミル、そして我らが中上君の躍進。

●アレックス・マルケスの初表彰台。

●混迷のチャンピオン争い。

●ドヴィさんの失業。

と、枚挙に暇の無い激動の2020年シーズンにおいて、ただ一人だけ違う方を向いてる人が一人。
それはイアンノーネ。
昨年のドーピング問題が、未だにクリアされてないイアンノーネ。
混迷の2020年においてただ一人、混迷のベクトルが違う男。

イアンノーネのドーピング事件をここで整理しておきたい。

発端は2019年のマレーシアGP。
ここのホテルで食べた牛肉が禁止薬物に汚染されてたのが原因とされている。

検出された薬物はドロスタノロン。
通常、ボディビルダーやプロレスラーが使う薬物。
これと同じ成分に汚染されていた牛肉を食べたのが原因とされる。

これにより、2019年の第18戦のマレーシア、第19戦のバレンシアの成績はキャンセルとされた。
まぁ両方リタイヤだったのであんまり関係無いんだけど。

下された裁定は18ヶ月の出場禁止と言う厳しい沙汰。
ドーピングコントロールにおいては、サイクルロードレーサーのコンタドールの場合も同様に過失で有っても容赦はされないので、厳しい措置なのも仕方ないか。

禁止期間は2019年12月17日から～2021年6月16日。
レースはおろか、グランプリや公式テストが開催されるサーキットでの走行も禁止される。
アンソニー・ウエストみたいに、ブラジルのレースに出るのも禁止。
世間では空中セーフは通じないように、南米セーフもまた通じない。

でも18ヶ月なんて余りに長すぎる。
そりゃあまりに惨いわと、イアンノーネの弁護士はスポーツ仲裁裁判所（CAS）に上告した。
そりゃあんまりな話やでと。

・ホテルでの食肉汚染が原因だとほぼ断定されている点。

・毛髪からは検出されなかったので恒常的に摂取してた訳では無い点。

・検出されたステロイドは筋肉増強に用いるステロイドで、MotoGPがあえて使うには余りに不自然で有る点。

これらを主張すべく弁護士は頑張った結果、WADA（World Anti-Doping Agency=世界ドーピング防止機構)からこんなお達しが。

イアンノーネの出場禁止期間は４年に延ばせ。

な、なんだって！！

4年は長い、長すぎる。
これが趣味のマラソンランナーなら、4年後の東京マラソンに応募すれば良いのだけど、世界で20数名しか出れないGPレーサーはそう言う訳にも行かないので、4年の出場禁止ってのは余りにも酷な話。
単車のレースなんか4年後にまた出たらイイやん、とか簡単に思ってるのだろうか。
世界ドーピング防止機構の人たちは。

そんな死刑宣告を、はいそうですかと簡単に受け入れる訳には行かないイアンノーネは、まさに今、戦ってるのだ。
自身のライダー人生を賭けた最後の戦いを。
イアンノーネの人生を賭けた、そしてクラッチローの人生までもを左右する戦いが、今。
スポーツ仲裁裁判所（CAS）で行われている。

考えられる限りの最高の結果は2020年12月までの出場停止処分。
もしこれが勝ち取れたら、アプリリアに乗るイアンノーネが来年も見れる。
本人のキャラクターやライディングスタイルとは裏腹に意外と乗り易いバイクを好むイアンノーネが、結果はアレだけどともかく乗り易いと評判のニューアプリリアに乗れるイアンノーネの勇姿が来年も見れる。

最初の裁定通りの2021年6月16日までの出場停止処分に決まれば、ファクトリーへの復帰はちょっと難しいかな。
でも2022年はアプリリアの完全ファクトリー化（現在はグレシーニ）に合わせてサテライトチームも始動するようなので、そっちのシートが空く可能性も高い。
そして、ザルコは要らんと言ってたプラマックはイアンノーネは大好きを公言してるので、ドゥカティへ戻るのも可能性も無い訳じゃ無い。
可能性はちょい薄いけれど。

だが、4年間の出場停止処分が下されたら、流石に第二の人生を見つけなきゃ成らないかもね。
4年後の復活はちょっと無理が有るわ。

そして、この度、遂に。
スポーツ仲裁裁判所（CAS）が遂にこんな結論を！

Aragon MotoGP: Andrea Iannone CAS appeal decision 'mid-November’