一生の不覚
バイクは、勿論自転車や徒歩に比べれば遥かに楽な移動手段なのだけども、時に結構疲れる事も有る。
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高速道路をネイキッドでひた走ったり、或いは山深い林道を走ったり、モトクロスコースやサーキットを本気で走ったり。
そんな乗り方するととても疲れる。
モトクロスの翌日に起きれなく成った経験が有る人もきっと居るんじゃなかろうかと思う。
体中がバッキバキに成って。
私も何度か有る。
コースを走った翌日は、ホンダのP2時代の二足歩行ロボットみたいに成った事も。
早くアシモに成りたい!って思った事も。
時間当たりの疲れ具合で見ると、ネイキッドで高速道路なんてのは随分楽な部類だろう。
1時間程度なら別に疲れやしないし。
でもトライアルなんかが結構上位に来るんじゃないかと思う。
大して経験は無いけど、山奥で岩登ったりしたら結構疲れるのは知ってる。
超絶テクが有れば、自分の足で登れる程度の壁なら全然疲れないかも知れないけど、そんな気の利いたテクなんて持ち合わせて無い身からしたら結構疲れる。
って言うかそもそも登れないけど。
そして、教習所での教習なんかも、バイクに慣れてない分疲れも凄いんじゃ無いかと。
特に第一~二段階辺りは、数十分でヘトヘトに成っても不思議じゃ無い。
しかし、やっぱり一番疲れるのは押し掛けだろうと思う。
それもビッグバイクの押し掛け。
時間当たりで見ると、疲労度はダカールラリーや8耐を凌駕するだろう。
いくら体力が無尽蔵なラグビー選手でも、真夏に3人交代で8時間も押し掛けなんて出来ないだろうし。
出来るかな?
どうだろう?
無理だと思うな。
ん、まぁそもそもしないと思うけど。
私が一番疲れた経験は、時間当たりで見れば、ゼファー750の押し掛けが一番疲れた経験なんじゃないかと思う。
ネギ買いに行ったスーパーの店先でエンジン掛けようとしたら知り合いに出会って、キーをオンにしたまま立ち話ししてたらバッテリーが上がってセル回らなくなったと言う、とてもマヌケな理由で。
グリップヒーターってえらい事電気食うんだねって改めて認識した。
良く解らない位に使われ続けてきた死にかけのバッテリーには、エンジン掛けずにグリップヒーターつけっぱなしはちょっと酷なようだ。
セルを回そうとボタン押したときの
ズジジジジ
って音に絶望感を感じる。
富子、一生の不覚。
あれは疲れた。
本当に疲れた。
でもそうは言っても750。
1100なら絶望的だけど、まぁ言っても750だ。
やってやれないレベルでは無い。
ZZR1100の押し掛けしてる動画はyoutubeに有るけど、そんなのに比べたらまだマシな部類だろう。
ゼファー1100やZZR1100~みたいに絶望的な重量でも無いし、アメリカンみたいに押し難い訳でも無いし、スクーターみたいに物理的に何万キロ押した所でエンジン掛からないバイクでも無いし。
ちょっとエッチなだけの普通の奥さんでも押し掛けが出来ないレベルでは無い。
でも重いよ。
本当に重い。
もう750ccって、ギア入れてクラッチ切って押したら本当に恐ろしく重い。
幸いなのは平地だった事。
下ってたら凄く楽だったろうけど、登りじゃ無いだけまだマシだと言える。
そしてエンジンは暖まってた事。
そこまで乗って来たんだからまだ一応は温まってたのも幸運。
これで冷え冷えだったらちょっと困ったかも知れないけれど。
チャンスは2回。
私の体力では2回が限度だ。
多分それ以上は掛からないと思う。
だからチャンスは最大2回。
それで勝負をキメないと、今夜は帰れない。
さっき買ったネギを齧りながら助けを待たねば成らない。
泣きながら、ネギ齧りながら救助を待たねば。
ギヤはサード。
私の押し掛けはギヤがサードが基本。
ヌォァァァ!!!!って気合入れて押して、押して押して最高速に近く成った時に、さらに押しながら半クラしてクランキングさせるのがCBR250に乗ってた昔からのやり方。
チョイチョイっとクラッチつなぎながらクランクが回ってるのを確認しつつまだまだ押し続け、ボボボっとエンジン掛かったら即クラッチを全握り。
この時、即座にクラッチを切るのが最大のポイント。
3速に入れたままエンジン掛かったのにクラッチ切れなければ、そのままずっと横を走り続けるハメに成るから要注意だ。
マラソン中継に良く出てくる人みたいに横を走り続けるハメに。
或いは転んだりしたら、西部劇の可愛そうな保安官みたいにバイクに引きずられる事も考えられる。
だから押して掛ける事はとても重要だが、押して掛かった後の事も同じく、否、有る意味それ以上に重要なのだ。
この掛け方なら尚更に。
一般的な、全速力から跨って、体重掛けながらクラッチをドン!って繋ぐやり方は、私の体力ではちょっと難しい。
250ccくらいならまだしも、400cc越えたらちょっと困難だ。
750ccは、掛けれる自信は全く無い。
多分私の出せるスピードじゃ、ンガガガってリヤがロックして肩を落とすと思う。
有る程度のスピードが押して出せるパワーが有ればイイのだけど、ゼファー750でやるのは私にはちょっと難しい。
ギヤはサード。
私の押し掛けはギヤがサードが基本。
私は押した、ゼファー750を懸命に押した。
激押しした。
メロスは激押した。
意外と重いゼファー750を。
あの鉛でも詰まってるのかとさえ思える物凄く重いマフラーをチタンに交換したらもっと軽く成るのにと思いながら押した。
ボボボ...ボフフン♪
一発で掛かる幸せ。
ん、なんでも一発でキメれたら気持ちイイもんだ。
ちょっと得意気な顔しつつ、周りに誰も居ないのにちょっと得意気な顔しつつ、クラッチレバーを握ってブレーキ掛けてバイクを停止させて、路肩に置きっぱなしだったヘルメットを取りに戻る為、サイドスタンドを出した。
ギヤはサードのまま。
..........OH...........
なんてバカ!
富子、なんてバカ!
ギヤ入れたままサイドスタンド出したらエンジンが止まるバカ避けシステムを作動させるなんて。
う...海のリハク、一生の不覚....
バカバカバカ、富子のバカ
リハクのバカ!
私は身も心も力尽き、そして道路際の溝へと吐血しながら倒れこんだ。
火照った体に、初春の冷えたコンクリが気持ちよかった。
ニュートラルに入れるのを忘れたばかりに
富子、一生の不覚....
そんなおぞましい記憶は遠い過去に追いやる為、結構な頻度で押し掛けしなきゃ成らなくなったセローのバッテリーを換えてみた。
セローくらいは直ぐに掛かるけど、謎のエンスト病も併発してるので、バッテリーは重要だったりもする。
交差点の真ん中で押し掛けなんてしてられないからね。
だからちょっと換えてみた。
なんか凄く怪しく、そして凄く安いバッテリーに。
それから数ヶ月、意外となんとも無く、勿論爆発もしてないので意外と良かったかも知れないと思いつつも、こんなの買っててイイのだろうかとも思ったりしてる。
こんな安物バッテリーを買った事は一生の不覚と成らないかとちょっと心配しつつも、今日も私は股の下に爆弾仕込みながら走るのだった。
どうは爆発しませんようにと。
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